海外研修員及び帰国研修員の活動

 センター開設以来、39年間で59の国・地域から862名のリハビリテーション従事者を研修員として受け入れ、障害がある方々のリハビリテーションに関する技術や情報を提供してきました。研修員はJICA研修員、WHO研修員、大学や医療機関からの研修員等で、帰国後は中心的な立場でリハビリテーションに従事また教育に携わっています。

地域

 研修員の8割強はアジア地域の人々です。次いで、JICA研修員として研修を受けた中南米からの人々が1割です。

  1. アジア 83%
  2. 中南米 10%
  3. アフリカ 4%
  4. 欧州   1%
  5. 大洋州  1%
  6. 北米   1%

総数862人(平成30年度末現在)

海外研修員国別割合
海外研修員国別割合のグラフ

海外研修員の職種

 研修員はリハビリテーション医療従事者(医師、理学療法士、義肢装具製作技術者、看護師等)が8割弱を占め、医学的リハビリテーション分野での研修が当センターに求められていることがわかります。このような医療従事者の研修に際しても、当センターでは、職業的リハビリテーションや社会生活のための訓練等、障害がある人々の生活全般に関わるリハビリテーションを広く知っていただくためのプログラムを組んでいます。

  1. 医療   75%
  2. 行政    8%
  3. 福祉    8%
  4. 教育    5%
  5. その他   2%
  6. 職業指導  1%
  7. 研究    1%

総数862人(平成30年度末現在)

海外研修員の職種
海外研修員の職種のグラフ

海外研修員による研修レポート

フィリピン

Paul Matthew S. Jiao(ポール マシュー ジアオ)
研修内容 支援機器の適用に関する研修
研修期間 2019617日~628

 私はフィリピンでリハビリテーション医師をしているポール・マシュー・ジャオです。フィリピン総合病院での研修とフェローシップトレーニングを終えて、現在はフィリピン大学で医療政策について勉強をしています。日本の国立障害者リハビリテーションセンターで支援機器と医療政策について学ぶことができて嬉しく思います。
 フィリピンで医学的リハビリテーションが行われるようになったのは比較的近年です。フィリピンで最初のリハビリテーション医師は外国でトレーニングを受けた後、1950年代にフィリピンに戻ってきました。そして徐々にリハビリテーション医師が増え、フィリピンリハビリテーション医学アカデミーが1974年に設立されました。
 日本はフィリピンのリハビリテーション医学の発展において大きな役割を果たしています。多数のフィリピンのリハビリテーション医師が筋電図検査や他の専門分野の指導を日本人から受け、日本の国際協力機構(JICA)を通じてリハビリテーション専門家が義肢装具や他の分野の研修を受けました。また、日本とフィリピンの研究者が共同研究を行っています。
 フィリピンは現在、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)実現のために動いています。日本の国民健康保険はリハビリテーションサービスも対象になります。リハビリテーションにおいて患者さんが必要とする医療ケアも提供することができる日本の政策は、効率的かつ効果的であり、学ぶことが多くあります。
 国立障害者リハビリテーションセンターでの研修中、日本のリハビリテーションサービス提供システムについて学びました。人材を効率的に活用しています。リハビリテーションサービスは良く調整されていてアクセスしやすいようにできています。総合的なリハビリテーションケアのために支援機器が最大限に活用されています。日本の患者さんは医学的リハビリテーションの期間だけをサポートされているのではありません。ソーシャルワーカーが、患者が社会の一員として復帰するための支援など重要な役割を担っています。
 フィリピンのリハビリテーション医学に携わる仲間も、障害がある人のためのサービスを強化できるように一生懸命に活動をしています。日本のリハビリテーションサービス提供システムは我々にとって重要なお手本となるでしょう。これら私が日本で学んだことをフィリピンで実行し、障害がある人がリハビリテーションサービスと支援機器をもっと利用できるようにすることが私の希望です。

フィリピン

Carlo Felix Hernando Adraneda(カルロ フェリックス ヘルナンド アドラネダ)
研修内容 ロービジョンケアに関する研修
研修期間 201964日~725

こんにちは。私はフィリピンで眼科医をしているカルロ・フェリックス・H・アドラネダです。国や民間の病院で、眼科医として5年以上仕事をしています。ロービジョンや、全盲の患者さんを診てきました。
 2017年に保健省が行ったアンケートによると、フィリピンには200万人以上の視覚障害者がいます。患者さんのニーズに対応できる専門家の数と資源がフィリピンは不足しています。それで私はロービジョンと視覚障害リハビリテーションを学びたいと思いました。私はロービジョンと視覚障害リハビリテーションについて研修ができる病院やアイセンターを探しました。日本の埼玉県にある国立障害者リハビリテーションセンターは、そのような施設のひとつでした。私は研修を申し込み、幸運なことに研修員として受け入れてもらうことができました。
 国立障害者リハビリテーションセンターは研修を行うのに完璧な施設です。以前に日本を旅行したとき、視覚に障害がある人のための良い医療ケアシステムがあることを知りました。日本ではこのような障害がある人々のための福祉戦略が全国的に実施されています。そのひとつは、主要な道のほとんどで見られる黄色い視覚障害者用誘導ブロックです。視覚に障害がある人が道を歩くときのガイドとなるよう設置されています。
 国立障害者リハビリテーションセンターでの研修中、私はロービジョンリハビリテーションについて多くのことを学びました。まず基本は、患者さんのニーズに沿って適切な視覚補助具を使うことです。この病院では視覚の問題を診断するための検査機器が充分に備わっており、ロービジョンの患者さんのための視覚補助具や、日々の活動をサポートする補助具がすべてそろっています。すべてのことが国際基準に従ってよく維持されています。病院は広々としていて清潔です。患者さん達は快適な環境で、診察と適切な治療を受けることができます。国立障害者リハビリテーションセンターはリハビリテーションと補装具において先導的な施設です。障害がある人のための再生医療や支援機器の発展に従事している研究者がいます。
 しかし私がここの医師、視能訓練士、ソーシャルワーカー、スタッフから学んだ一番重要なことは、患者さんへの思いやりなど総合的なケアです。全ての患者さんが敬意と思いやりのある、個人のニーズに沿った治療を受け、最善の生活の質を得るために見守られています。視覚に障害がある患者さんの日常生活には様々な注意が必要です。家族や周りの人は患者さんの安心を担います。私はこの研修で、障害があっても質の高い生活はできるということを確信しました。
 国立障害者リハビリテーションセンターは、障害がある人への医療、社会的支援、リハビリテーションサービスをどのように提供するか学ぶことができる場所です。これからも私のような海外研修員を受け入れ、母国で質の高い医療サービスが提供できるよう、研修を行ってくれることを望みます。
 更なるパワーと健康をすべての人に。
 研修に携わってくださった方々、本当にありがとうございました。

帰国研修員の活動

中国

張 栩(チョウ ズ) 鞍山市(アンシャン市)

 平成16年に研修を行った張氏は、受傷後、障害のある人々のための支援活動をしたいとの意思で活動を開始し、当センターでリハビリテーションの研修を受けました。帰国後は地元の遼寧省鞍山市(中国東北部)でNGOとして障害がある人々の家庭訪問、障害がある子どもの教育支援など様々な活動を行っています。


その活動はニュースレターで毎月発信されています。

Dr.張 栩(中央)米国の大学院にて
Dr.張 栩(中央)米国の大学院にて撮影した写真

イラン

Mr. Pashai Mohammad(パシャイ モハメッド)

 平成23年に研修を行ったパシャイ氏は、自身が受傷したことにより、母国イランの障害がある人々の生活向上のための支援を行う意思を持ち、在住している日本でNPOミントの会を設立しました。NPOの代表として日本とイランの障害がある人々をつなぐ様々な活動を行っています。イランの脊髄損傷や他の障害のある人々に車いすやベッドを贈ったり、日本のリハビリテーション専門家をイランに招へいしての研修会、イランのリハビリテーション従事者の日本での研修等を行っており、イランでNGOを立ち上げ、現地での活動展開も始めています。
 平成28年度にはイランの理学療法士とともに再度当センターでの研修を行い、日本のリハビリテーションに関する最新情報に触れたことは、今後の氏の活動に資するものとなるでしょう。

研修初日 総長との記念撮影(平成28年11月8日)パシャイ氏(左側)とイランの理学療法士
研修初日の総長とパシャイ氏(左側)とイランの理学療法士との記念撮影写真(平成28年11月8日撮影)