アトランティス アイゼン

 
〔トピックス〕
学院 義肢装具学科 ICT研究会 松下亜実さん(3年)が最優秀学生演題賞に輝く ―第37回日本義肢装具学会学術集会にて―
学院 義肢装具学科 教官 徳井 亜加根

 2021年10月、第37回日本義肢装具学会学術集会において、学院義肢装具学科・松下亜実さんの「上肢に障害を持つ児童のためのリコーダー演奏補助装置の考案」が最優秀学生演題賞に輝きました。彼女が所属するICT研究会としては、昨年の優秀学生演題賞に続く2年連続の受賞です。大学生や大学院生も演題登録する中で、在学年数が短く、過密なカリキュラムの専修学校生が受賞したその裏にある、彼女の不断の努力と、困難に決して負けない「志」、そして、彼女を支えた仲間に敬意を払わずにはいられません。

1 ICT研究会とは

 2019年、松下さんの同級生である故鈴木夏弥さん(2020年秋、腫瘍により逝去)が、「受け身の勉強ではなく、もっと多くのことを勉強したい。誰かの役に立ちたい。一緒にやろうよ!」と呼びかけ、賛同する同級生と結成したのがICT研究会です。新型コロナ感染症の爆発的拡大が見られた2020年春、コロナ病棟を含む12都府県72施設に対して、独自に製作したフェイスシールドとマスクを寄贈した活動が高く評価され、令和2年度ぼうさい甲子園「しなやかwithコロナ賞」、第36回日本義肢装具学会学術大会「優秀学生演題臨床行動科学賞」を受賞しました。鈴木さんが亡くなる前に仲間に託した「どんな困難にも負けない義肢装具士に!」という志は受け継がれています。

2 取り残された障がい者音楽

 2021年に開催されたオリパラ東京大会では、障がい者スポーツに注目が集まりました。しかし、上肢障害児は体育だけではなく、音楽でも問題を抱えています。実際、リコーダー演奏に困っている児童についての報告は約40年前から見られるものの、未だ解決できていません。障害児のリコーダーを積極的に製作していた東京都補装具研究所が1997年に閉鎖された後、個人的に活動を引き継いだ古山和男氏も2000年頃に活動を終了、現在、多くの上肢障害児がリコーダー演奏を諦める状況が続いています。

3 松下さんのリコーダー演奏補助装置

 松下さんが今回考案した装置のコンセプトは、@市販のリコーダーに取付け可能、A誰でも取付け可能、B障害に応じて取付けるパーツのアレンジが可能、というものです。つまり、松下さんの装置は、製作したパーツの取付け、アレンジを行うのが児童自身あるいは保護者等を想定しているところに新しさがあります。パーツを取り付けると、1本の指もしくは腕で最大3つの音孔が操作可能になります。パーツは3Dプリンタで出力したものを組み立てていますが、今後、パーツの取付けだけでなく組立作業をも誰もができるように工夫することで、3Dデータを無料配布すれば誰でもこの装置を使用できるようにするのが目標です。


左:松下さんの考案したリコーダー演奏補助装置
右:オンライン学会での受賞だったため、学術大会長に代わり、前義肢装具学会長の芳賀信彦自立支援局長に賞状を授与していただきました